2025年11月25日、南米最大級の音楽祭「ビニャ・デル・マール・フェスティバル」の2026年ラインナップが発表され、K-POP界に衝撃が走りました。JYPエンターテインメント所属のNMIXX(エンミックス)が、K-POPアーティストとして史上初めてこの伝統あるフェスティバルに出演することが決定したのです。
1960年から65年の歴史を持つこのフェスティバルに、なぜNMIXXが選ばれたのか。その背景には、LinkedInでの直接アプローチから始まった奇跡的な経緯と、JYPの計画的なラテンアメリカ戦略がありました。
ビニャ・デル・マール・フェスティバルとは
「Festival Internacional de la Canción de Viña del Mar(ビニャ・デル・マール国際音楽祭)」は、チリの海岸都市ビニャ・デル・マールで毎年2月に開催される、南米で最も権威ある国際音楽祭です。
フェスティバルの基本情報
- 開催期間:2026年2月22日(日)〜2月27日(金)
- 会場:チリ キンタ・ベルガラ円形劇場(Anfiteatro Quinta Vergara)
- 収容人数:約15,000人
- 歴史:1960年開始、今回で65回目
- 放送:チリ国内でテレビ・ラジオ生中継、2026年はDisney+とBillboard.comでも国際配信
「モンスター」と呼ばれる観客
ビニャ・デル・マールの観客は「Monstruo(モンストルオ=モンスター)」と呼ばれています。パフォーマンスが気に入らなければ容赦なくブーイングを浴びせ、逆に認められれば熱狂的な声援を送る、世界で最も厳しい観客の一つとされています。
これまでに出演した海外アーティストには、トム・ジョーンズ、スティング、エルトン・ジョン、バックストリート・ボーイズ、リッキー・マーティン、シャキーラなど、世界的なスターが名を連ねています。
NMIXXの出演詳細
NMIXXは2026年2月24日(火)に出演予定で、メキシコのデュオ「Jesse & Joy(ジェシー・アンド・ジョイ)」と同日のステージに立ちます。
2026年の主要出演者
- グロリア・エステファン(Gloria Estefan)
- ペット・ショップ・ボーイズ(Pet Shop Boys)
- フアネス(Juanes)
- モン・ラフェルテ(Mon Laferte)
- ジェシー・アンド・ジョイ(Jesse & Joy)
- パウロ・ロンドラ(Paulo Londra)
- NMIXX(K-POP史上初出演)
- マッテオ・ボチェッリ(Matteo Bocelli)
- ボンバ・エステレオ(Bomba Estéreo)
LinkedIn(リンクトイン)から始まった奇跡
NMIXXのビニャ・デル・マール出演が実現した経緯は、非常にユニークなものでした。
フェスティバル執行責任者のダニエル・メリーノ氏によると、NMIXXのマネージャーがLinkedIn(リンクトイン)で直接連絡してきたそうです。メッセージの内容は「フェスティバルの夜を体験したい」というものでした。
言語の壁を英語で乗り越え、NMIXXは2025年のフェスティバルにゲストとして招待されることになりました。実際に訪れたNMIXXは、チリの歌姫ミリアム・エルナンデス(Myriam Hernández)の公演を観覧。その時のリアクションがSNSで話題になり、2026年の正式出演につながったのです。
メリーノ氏はこう語っています。「バックステージは大混乱でした。誰もが何が起きているのか理解していませんでした」
JYPの計画的なラテンアメリカ戦略
NMIXXの出演は偶然ではありません。JYPエンターテインメントは、NMIXXを通じてラテンアメリカ市場を計画的に開拓してきました。
1. デビュー前からスペイン語学習
NMIXXのメンバーはデビュー前からスペイン語を習得しており、ラテンアメリカのファン層との関係構築を早期から意識していたことがわかります。
2. baila funk(バイラファンク)の導入
ブラジルの黒人コミュニティに起源を持つ音楽ジャンル「baila funk」をデビュー曲から取り入れ、ラテン音楽との親和性を高めてきました。
3. スペイン語版楽曲の制作
2024年には「Soñar (Breaker)」のスペイン語版をリリースし、地域のリスナーへのアクセスを拡大しました。
4. Billboard Latin Music Week初のK-POP出演
2024年、NMIXXはBillboard Latin Music WeekにK-POPグループとして初めて参加。その場でメンバーのヘウォン(Haewon)が「ラテンアメリカの様々なフェスティバル、特にビニャ・デル・マール音楽祭に参加したい」と発言しており、最初からこのフェスティバルを狙っていたことがわかります。
5. Pabllo Vittarとのコラボレーション
ブラジルの人気シンガー、パブロ・ヴィッター(Pabllo Vittar)と「MEXE(メシュ)」を共同制作。baile funkとK-POPの融合を実現させました。
6. ワールドツアーとの連動
NMIXXは現在、初のワールドツアー「Episode 1: Zero Frontier」を展開中で、メキシコシティ、サンティアゴ(チリ)、サンパウロ(ブラジル)などラテンアメリカの主要都市も含まれています。
K-POP業界への影響
ラテンアメリカ市場の本格開拓
K-POPはこれまで、北米、ヨーロッパ、東南アジア、日本を主要市場としてきました。しかし、ラテンアメリカは約6億5,000万人の人口を抱える巨大市場です。NMIXXのビニャ出演は、この市場への本格的な進出を象徴しています。
フェスティバルの執行責任者も「K-POPが毎年恒例のコリアン出演者枠になる可能性がある」と示唆しており、今後の展開が注目されます。
今後の注目ポイント
- 2月24日の本番パフォーマンス:NMIXXがどのようなセットリストで臨むか、「モンスター」と呼ばれる厳しい観客にどう評価されるか
- 現地メディアの反応:チリ国内でK-POPがどう報道されるか
- 他のK-POPグループへの波及:来年以降、他のグループも出演する可能性があるか
まとめ
NMIXXのビニャ・デル・マール・フェスティバル出演は、K-POP史上初の快挙であり、JYPエンターテインメントの計画的なラテンアメリカ戦略が結実した瞬間と言えます。
LinkedInでの直接アプローチという異例の経緯、デビュー前からのスペイン語学習やbaile funkの導入など、すべてが今回の出演につながっていました。
2026年2月24日、NMIXXが「モンスター」と呼ばれる世界一厳しい観客の前でどのようなパフォーマンスを見せるのか。K-POP全体のラテンアメリカでの評価を左右する、歴史的な一夜になることは間違いありません。