2026年1月27日(現地時間)、米ビルボードが発表した最新チャート(1月31日付)で、ENHYPEN(エンハイプン)が「アーティスト100」で初めて1位を獲得しました。7thミニアルバム『THE SIN:VANISH(ザ・シン:ヴァニッシュ)』を引っ提げての快挙です。
「アーティスト100」は、アルバム・音源の販売量、ストリーミング数、ラジオのオンエア回数、ソーシャルメディアの指標を総合的に計算して順位を決めるチャート。つまり、ENHYPENがこの週、アメリカで最も影響力のあるアーティストだったということを意味します。
本記事では、ENHYPENが達成した記録を数字で徹底検証し、この快挙がK-POP業界においてどのような意味を持つのかを分析していきます。
ENHYPENが達成した主要5チャート制覇の全貌
今回、ENHYPENは米ビルボードの主要5チャートで1位を獲得しました。その内訳を見ていきましょう。
チャート成績一覧
- アーティスト100:1位(初) – アーティスト総合ランキングで初の頂点
- トップアルバムセールス:1位 – 週間で最も売れたアルバム
- トップカレントアルバムセールス:1位 – 新譜の中で最も売れたアルバム
- ワールドアルバム:1位 – 海外アーティストのアルバムチャートで首位
- ビルボード200:2位 – 総合アルバムチャートで2位
さらに、タイトル曲「Knife(ナイフ)」も好成績を収めています。
- ワールドデジタルソングセールス:1位
- グローバル(米国除く):62位
- グローバル200:90位
販売実績の詳細
『THE SIN:VANISH』は発売初週に以下の記録を達成しました。
- 初週販売枚数:207万枚超
- ENHYPENの通算4作目となるダブルミリオンセラー達成
- ストリーミング再生数:約951万回(キャリアハイ更新)
「アーティスト100」で1位を取るためには、単にアルバムが売れるだけでは不十分です。ストリーミング、ソーシャルメディアの話題性、すべてを含めた総合力で1位になったという点が重要です。
6作連続「ビルボード200」トップ10入りの軌跡
ENHYPENは今回の『THE SIN:VANISH』で、6作連続となるビルボード200トップ10入りを達成しました。これは非常に安定した成績であり、グループの着実な成長を示しています。
過去のアルバムのBillboard 200成績
- MANIFESTO:DAY 1(3rdミニ・2022年):6位 – 初のトップ10入り
- DARK BLOOD(4thミニ・2023年):4位 – 初のトップ5入り
- ORANGE BLOOD(5thミニ・2023年):4位 – 2作連続トップ5
- ROMANCE:UNTOLD(2ndフル・2024年):2位 – 自己最高順位更新
- DESIRE:UNLEASH(6thミニ・2025年):3位 – 安定のトップ3
- THE SIN:VANISH(7thミニ・2026年):2位 – 自己最高タイ
注目すべきは、順位が安定して上位をキープしていることです。デビューから約5年で、ENHYPENは着実にアメリカ市場での地位を固めてきました。6位→4位→4位→2位→3位→2位という推移は、一時的なブームではなく、継続的な人気を示しています。
K-POPグループの「アーティスト100」1位獲得の歴史的文脈
「アーティスト100」でK-POPグループが1位を取ることは、近年珍しいことではなくなってきています。しかし、その意味は依然として大きいと言えます。
アーティスト100で1位を獲得したK-POPグループ
- BTS(防弾少年団):複数回1位を獲得し、K-POPの米国進出の道を切り開いた
- SEVENTEEN(セブンティーン):2024年に1位獲得
- Stray Kids(ストレイキッズ):2024年に1位獲得
- ENHYPEN(エンハイプン):2026年に初の1位獲得
ENHYPENがこれらの先輩グループに並んだという事実は重要です。HYBE傘下のBELIFT LABが手がけるENHYPENは、デビュー当時から「BTSの弟グループ」として注目されてきましたが、今回の記録で独自の存在感を確立したと言えます。
「ビルボード200」2位の分析:1,000枚差の接戦
今回、ENHYPENは「ビルボード200」で2位でした。1位はA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)のアルバム『Don’t Be Dumb』。注目すべきは、その差がわずか約1,000ユニットだったということです。
ビルボード200の計算方法
ビルボード200の順位は「アルバム換算ユニット」で決まります。
- アルバム1枚の販売 = 1ユニット
- ストリーミング1,250回 = 1ユニット(アルバム換算)
- 楽曲10曲のダウンロード = 1ユニット(アルバム換算)
つまり、ENHYPENは「アルバム販売」では圧倒的に強いのですが、「ストリーミング」ではまだ伸びしろがあるということです。207万枚売れても1位を逃したのは、アメリカ国内でのストリーミング数でA$AP Rockyに及ばなかったためと分析できます。
これはK-POP全体が抱える構造的な課題でもあります。K-POPファンダムはアルバム購入に非常に積極的ですが、アメリカの一般リスナーへのストリーミング浸透という点では、まだ成長の余地があります。
ストリーミング951万回の意味
とはいえ、今回の951万回という公式ストリーミング数は、ENHYPENにとってキャリアハイです。過去のアルバムと比較すると、着実にストリーミング数を伸ばしていることがわかります。
- 『ROMANCE:UNTOLD』:約700万回
- 『DESIRE:UNLEASH』:約800万回
- 『THE SIN:VANISH』:約951万回
HYBEとしても、アルバム販売だけでなくストリーミングの強化に取り組んでいることがうかがえます。この傾向が続けば、いずれ「ビルボード200」でも1位を獲得する日が来るかもしれません。
なぜ「アーティスト100」で1位を取れたのか?
「ビルボード200」では2位だったのに、「アーティスト100」では1位。この差は何でしょうか?
「アーティスト100」は、アルバムチャートだけでなく、楽曲チャート、ソーシャルメディアの話題性も含めた総合指標です。
ENHYPENが「アーティスト100」で1位を取れた要因:
- アルバム販売で圧倒的な数字:初週207万枚という記録
- タイトル曲「Knife」が複数チャートで好成績:ワールドデジタルソングセールス1位など
- SNSでの話題性・エンゲージメントの高さ:ファンダム「ENGENE」の活発な活動
これらを総合して、「この週、アメリカで最も影響力のあるアーティスト」と認定されたわけです。
HYBEの「ストーリーテリングIP」戦略
ENHYPENの成功を語る上で欠かせないのが、HYBEの「ストーリーテリングIP」戦略です。
ENHYPENはデビューから一貫して「ヴァンパイア」という世界観を展開しています。
- デビュー曲「Given-Taken」からヴァンパイアの物語が始まる
- アルバムごとにストーリーが進化・深化
- 『THE SIN:VANISH』はその最新章
この一貫した世界観が、ファンダム「ENGENE(エンジン)」の継続的な購買意欲につながっています。アルバムを「物語の続き」として楽しむことで、単なる音楽消費を超えた体験を提供しているのです。
HYBEはBTSの「花様年華」シリーズ、SEVENTEENの「FML」シリーズなど、複数のグループでストーリーテリングを重視しています。ENHYPENのヴァンパイアサーガもその一環であり、この戦略がビルボードでの安定した成績につながっていると分析できます。
今後の展望:ENHYPENの2026年
『THE SIN:VANISH』のリリースに続き、ENHYPENは活発な活動を予定しています。
- 1月30日:ソウルでファンイベント「VAMPIRE IS COMING」開催
- アルバムのヴァンパイアストーリーを継続したプロモーション展開
- 今後のワールドツアーやカムバックにも期待
K-POP業界への影響
ENHYPENの「アーティスト100」1位は、HYBE傘下グループの層の厚さを示しています。
- BTS:アメリカ市場を開拓したパイオニア
- SEVENTEEN:2024年にアーティスト100で1位
- ENHYPEN:2026年にアーティスト100で1位
HYBEは複数のグループで「アーティスト100」1位を獲得しており、事務所としてのアメリカ市場攻略ノウハウが蓄積されていることがわかります。
まとめ
ENHYPENが米ビルボード「アーティスト100」で初の1位を獲得したことは、グループの成長を示す重要なマイルストーンです。
- 主要5チャート制覇という快挙を達成
- 初週207万枚で4作目のダブルミリオンセラー
- 6作連続ビルボード200トップ10入りという安定感
- ストリーミング951万回でキャリアハイを更新
- 「ビルボード200」はA$AP Rockyと約1,000枚差の2位だったが、総合力で「アーティスト100」1位を獲得
デビューから約5年、ENHYPENは着実にアメリカ市場での地位を固めてきました。今後、ストリーミング数をさらに伸ばして「ビルボード200」でも1位を獲得できるか、引き続き注目していきたいと思います。